ペットの病気

犬のかかりやすい病気

#■歯周病について■
 「歯周」は、歯の周辺部位にある歯肉とそれより更に深い位置に存在する歯周組織を指し、歯周病は、歯の周辺の疾患や炎症のすべてを含みます。基本的に犬は虫歯にはなりません。口の中の環境がアルカリ性(人間は酸性)で、虫歯菌が繁殖しにくいからです。しかし、犬は唾液に多くのミネラルを含んでいるため、歯石に関しては人間よりも付き易い傾向にあります。 歯石が大量に付着している状態を特に処置をせず放置してしまった場合、高い確率で歯周病を起こします。重度の歯周病は時に細菌が血液中に入り込み、心臓や腎臓に問題を起こすこともあります。歯周病は徐々に進行するため、通常、重度の歯周病でも元気や食欲に変化は出にくく、口の中の不快感は訴えてくれませんので、気付いた時には、抜歯しか治療の選択肢がないこともしばしばです。更に進行した場合、感染が顎の骨を溶かしながら広がり、比較的近い位置にある鼻や眼にも症状を出すこともあります。 食事をとると、口の中の細菌、食べかす、唾液が混ざり歯に付着します。これは歯垢と呼ばれるものです。付着した歯垢に唾液中のカルシウムやリンなどのミネラルが合わさり石灰化します。これが歯石です。歯垢は3〜5日間という、ごく短い時間で歯石にかわります。 歯石の予防は歯垢が上記の過程を経て、歯石に変わる前に取り除くことが重要です。歯石の付着は歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の隙間から始まります。大きな歯は歯周ポケットも大きくなり、その分歯石もつきやすくなります。犬歯と第4前臼歯(一番大きな奥歯)周辺は特に注意が必要です。

写真:治療前解説(歯全体に歯垢と歯石が多量に付着しています。口臭も強く、歯槽膿漏を起こしています。)

治療直後

#■治療に関して■
一度付着してしまった歯石は一般の家庭では取り除くことは困難です。歯磨き用のガムなど硬いものを噛ませる、といった方法で落ちるのは表面の汚れのみです。歯周病の原因となる歯周ポケット内の歯石に関しては効果は不十分で、根本的な解決にはなりません。歯石の除去は専用の器具を使用して行います。口腔内の歯すべてをきれいにするには細かな作業が必要で、動かないで静かにしていなければなりません。安全に細かな治療を行う為には軽度ですが全身麻酔が必要となります。歯石を取り除いた後は歯肉の状態を見ながらレーザーで殺菌を行ったり、歯肉の慢性炎症で増殖した歯肉を切除や蒸散して整えたりします。その後は抗生物質を使って歯周ポケットの細菌をコントロールし、歯肉が安定するのを待ちます。歯石が取り除かれ歯肉が安定すると、口臭は全くと言っていいほど無くなります。

写真:治療直後解説(超音波スケーラーを使い、歯垢と歯石を全て取り除いた後、レーザー治療器で炎症を起こしている歯肉の治療を行っています。)

治療2週間後

#■アフターケア■
治療が終わったも、安心してはいけません。ご自宅でのケアをおろそかにすれば、また歯垢や歯石が再付着を起こしてしまいます。口臭の無いきれいなお口を保つために、歯と歯茎のメンテナンスを行い、定期的な診察を受けましょう。ご自宅のケアについては正しいやり方の指導を受けましょう。間違ったやり方は効果がないばかりか、歯と歯茎の状態を悪化させる場合があります。

写真;治療2週間後解説(まだ、歯肉炎が赤いところは残っていますが、歯茎は引き締り、歯と歯茎はかなり良い状態になっています。もちろん口臭は全くありません。)

治療風景

#■アドバイス■
お口の健康を維持することは、病気予防の第一歩とも言えます。始めに口をあけて歯をチェックしましょう。簡単な3つのチェックポイントは健康な〇は白く、∋茎は薄いピンクで8臭は弱いものです。気になる点が見つかったら、迷わずご相談下さい。

写真:治療風景解説(動物にストレスをかけないように吸入麻酔を使った無痛治療が行われます。)